【特別区経験者採用】ICTと事務のどちらを受けるか?

【相談内容】

民間のシステム会社に勤めている30代前半の者です。特別区経験者採用を受験する予定ですが、事務と今年から新設されるICTのどちらで受験するべきかで悩んでいます。

私自身はシステム会社に勤めているため、ICTのほうが現職との関連性はありますが、ITの技術や知識があまりあるほうではありません。やりたいこともICTに限らず幅広い分野の業務に携わりたいと考えています。事務とICT、どちらのほうが合格可能性が高いのか、先生の見解を教えていただければ幸いです。

【はじめに】

事務とICTのどちらを受けるべきかは、質問者さん一人ひとりの経歴やストーリーを伺わなければ、一概には言えないのが正直なところです。

それでも、どちらを受験すべきかを考える際に大事になるポイントはいくつかあります。今回はそのうち3つを紹介します。

倍率

まず1つ目は、「倍率」です。

「事務の倍率はこのくらい、ICTの倍率はこのくらいだからこちらを受けよう」という判断は、十分にあり得るでしょう。

ICT区分は新設当初、過去の蓄積がなく、倍率は予測するしかありませんでした。しかし現在は実績が公表されています。令和7年度の実施状況を見ると、次のとおりです。

  • 事務(一般事務)1級職:受験者1,177人・最終合格338人・倍率3.5倍
  • 事務(一般事務)2級職:受験者787人・最終合格160人・倍率4.9倍
  • 事務(ICT)1級職:受験者25人・最終合格13人・倍率1.9倍
  • 事務(ICT)2級職:受験者39人・最終合格18人・倍率2.2倍

出典:特別区人事委員会「令和7年度 特別区職員採用試験(選考)実施状況」

数字の上では、ICTのほうが倍率は低いことが分かります。ただし、ICTは採用予定数そのものが少なく(1級職22人・2級職17人)、受験者層もICT関連の職務経験を持つ方に限られるため、倍率の低さがそのまま「受かりやすさ」を意味するわけではありません。

したがって、純粋に「倍率」という観点だけでどちらが望ましいかを断じるのは難しい、というのが私の見解です。倍率は年度によって変動しますので、最新の実施状況は特別区人事委員会のページで確認してください。

試験内容

2つ目は、「試験の内容」です。

試験内容の中でも特に重要なのは論文でしょう。特別区経験者採用では、入口の段階で何よりも論文が重要になるからです。

事務は長年にわたって試験が行われているため、過去問のストックがあります。これを分析すれば、出題傾向をある程度は予測できるでしょう。

一方、ICTは新設から日が浅く、過去問の蓄積がまだ少ないため、どのような問題が出るのかについての不確実性が高いと言えます。

ICTの論文は「ICT論文」と呼ばれ、受験者のICTに関する経験・知識を問う内容です。特別区人事委員会は、新設時に出題イメージとして次のような例題を公式に示していました。

デジタル化の進展とセキュリティ対策について、あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、職務経験や専門的知識を踏まえ、採用区分における立場として論じてください。

特別区職員採用試験・選考より引用

この例題は「セキュリティ対策」がテーマでしたが、例題だけでは実際にどのような問題が出るのかは読み切れません。

試験が5年、10年と重ねられて過去問が蓄積されれば、傾向を分析して予測することも可能になるでしょう。しかし現状では、事務に比べて予測の材料が限られているのは確かです。

試験内容の不確実性という観点からは、ICTよりも事務のほうが対策を立てやすく、傾向を読みやすいと言えます。

やりたいこと

最後の3つ目は、「やりたいこと」というポイントです。

入庁後にどのような業務に携わりたいのか。この点も、事務とICTで分かれてくるところです。ICTがどのような業務に携わるのかについて、特別区人事委員会は次のように説明しています。

事務(ICT)職はICTに関する知識やデータを活用した政策立案の他、各種システムの導入・管理等を行い、特別区のデジタル化を支えます。

特別区職員採用試験・選考より引用

ICTに特化した業務に携わる、というニュアンスが読み取れるでしょう。もちろん「各種システムの導入・管理等」とあるように、それ以外の業務も含まれ得ます。

行政文書の「等」はかなり広い意味を含むため、「それだけに携わる」とは断言できません。しかし素直に読めば、ICTに焦点を当てた業務が中心になると考えるのが自然でしょう。

質問者さんは「ICTに限らず幅広い分野に携わりたい」と書かれていました。この観点からは、ICTよりも事務のほうが望ましいのではないでしょうか。

読者の皆さんにも、それぞれ携わりたい仕事があるはずです。やりたいことがICTに焦点を当てた内容ならICTが向いていますし、多岐にわたる分野に携わりたいのであれば、事務のほうが望ましいと私は考えます。

以上、事務とICTのどちらを受験するかを考えるうえで重要な3つのポイントを紹介しました。

採用予定数や試験内容は年度ごとに変わりますので、最終的な判断は、その年の受験案内が特別区人事委員会から公表された時点で、最新の情報に基づいて下してください。

なお、採用漏れについては、下記の記事で詳しく解説しています。

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この記事の筆者
筒井夢人

公務員試験「社会人採用」専門予備校Gravity副代表兼専属講師┃元TAC講師┃元公務員┃特別区経験者採用(15位合格・新宿区内定)他多数の合格経験┃このサイトでは特別区経験者採用の対策について発信しています。

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