【特別区経験者採用】模範解答だけで勝てますか?

【相談内容】

特別区経験者採用の課題式論文の勉強方法は模範解答(解答例)の丸暗記だけで良いですか?試験当日は暗記したものを書くだけでよろしいでしょうか?

【はじめに】

結論から申し上げますと「だけで良い」とは言えません。

どうしてなのか、理由を申し述べたいと思います。

それでは早速参りましょう。

なお、下記のYouTube動画でも解説を行っているので、併せてご視聴ください。

「だけで良い」とは言えない

まず一つ理由を挙げるとすると「テーマが同じでも、問われていることが異なる」ことが往々にしてあるのが挙げられます。

どういうことかと申しますとね、例えばで申し上げましょう。模範解答とか解答例と言われるものでは、モノによってはテーマ別に模範解答が書かれていたりしますよね。

環境だったらこう、子育て支援だったらこう、福祉だったらこう、って、テーマごとに模範解答が載ってますよね?で、「環境が出てきたらこれだ!」って質問者さんとしては書こうとしてるのかもしれませんけれども、同じように「環境」というテーマだったとしても、問われる角度が異なる可能性は大いにあります。

例えばのお話をいたします。環境といったときに「区民だったり、住民の行動にフォーカスした切り口」でテーマが出てくるときもありますし、あるいは、「企業行動に着目した問われ方」もありえますよね?

あるいは、それらをひっくるめた広い観点から「環境についての制度設計」の話が出てくるかもしれません。ということで、同じ環境というテーマでも、切り口や問われる角度にはものすごくいろんなものがあるわけです。

となってくると、「環境だからこのテーマで書いとけ!」「模範のとおりに書いておけば大丈夫っしょ!」というのはすごく危険な考え方だと思います。とくにですね、こういうふうに「テーマが同じだったら同じ感じで書いていけばいいんでしょ?」っていう発想の方って、条件反射的に何も考えずに回答を書き始めてしまうことがスッゴイ多いんですよ。

例えば2021年の例でご案内申し上げますと、この年は「財政の持続可能性」というテーマが課題式論文では出題されました。

本試験を受けた方々の中には、この「財政の」という文言を無視して、「持続可能性」という言葉に引っ張られて、全く関係ない「SDGs」について書いてる方がかなり大勢いました。実際、本試験が終わってからの個別コンサルティングでGravityをご利用になった方々の中にも、こういう方がものすごく多かったです。

そこで「これってどうなんでしょうか…?」と聞かれたときに、私は「残念ですが、それはもう諦めた方がいいと思います」としか申し上げられませんでした。だって、財政の持続可能性とSDGsって、概念として全くの別物ですからね。

でも、「なんでこんなことが起きるの?」といえば、「出てきたテーマに対して、何も考えず条件反射的に模範解答を当てはめようとするから」というのが私の考えです。ということでもありますので、テーマが仮に同じだったとしても、聞かれ方、問われ方、角度。

こういったものが異なれば、書くべき内容は変わって参ります。こういった観点から、模範解答を単純に暗記して、それを書けばいいだろうという発想は、私はナンセンスだと思っています。

また、残念ながら再チャレンジとなっている方々の中には、そもそも「怪しげな模範解答」を使ってしまっている方も少なくありません。この辺りは以前の動画でも注意喚起をしたところですが、あらためて注意して欲しいと思っています。

未知のテーマへの対応力

それ以外にも問題は生じ得ます。それは何かといいますと「未知のテーマが出てきたときの対応力」が養われにくいということであります。

どういうことかと申しますと、例えば模範解答とか、一般に解答例と言われるものについては、予想されるテーマや過去の出題テーマも含めて、いくつかのテーマがありますよね。で、まずはそれらを網羅するのは、対策の1丁目1番地、キホンのキにはなって参りますけれども、そうは言っても、今までのテーマとは違うもの、あるいは予想から乖離したテーマが出てくる可能性はやっぱり排除できませんよね。

過去の課題式論文の問題を見ていても、「これは過去にはあんまり出てこなかったな…」という論点がやっぱり存在しているんですよ。その場合、模範解答や解答例にはそのテーマは載っていないわけですから、それでしか対策をしていない方は、その時点でゲームオーバーになります。

文章力

ではどういった対応力が必要になってくるのかというと、必要なものが二つあると私は思ってまして。

まず一つ目が、いわゆる文章力ですね。例えば未知のテーマの場合、内容を知らないのは皆一緒ですので、書いている内容自体にはそこまでの差はつかないかもしれません。

その場合、文章力の差がそのまま論文の得点の差になります。ですので、こういったときにこそ文章力が必要になってくる。

未知のテーマが出てきたとき、きっちり得点するためにこそ文章力が必要なのだと思ってます。これはとてもではありませんが、単に模範解答を暗記するだけでは養われない力なのではないか。

そのように思っております。

自分なりの「物の見方」

そしてですね、もう一つ、どんな力が必要になるのかといったときに、自分なりの「物の見方」自分なりの視点といったものが必要になると思うんですね。

どういうことかっていうと、当たり前ですけれども、未知のテーマが出てきたとき、自分の中であんまり知識がないんだったら、その場で自分なりの構成を組み上げていく必要がありますよね。そのときには、自分なりに「こういう問題だったら、多分こういう観点が必要だろうな…」っていう自分なりの視座をもつことがとっても大事になってまいります。

で、視座・視点といっても、色んなものがあり得ると思うんですね。法学的な観点もありうるでしょうし、経済学的な観点もある、あるいは行政学ならではの観点というのもあるでしょう。

いろんな視点があり得ると思うんですけれども、例えば私の場合「全然知らないなこのテーマ…!」というのが出てきたときには、基本的に勉強してきたのが経済学でありますので、経済学的な視点から人間の行動や企業の行動を考えて「この課題の解消には…これが原因になってるから…これを潰すためには、経済学的にこういうインセンティブを与える必要があるな…!」と考えています。

これはどの視点が正解ってことではないと思うんですね。ただ、自分なりの視点・視座がないと、未知のテーマが出たときに自分なりに考えることができないので、その時点で詰んじゃうことになりやすいです。

ですので、未知のテーマが出てきたときこそ、自分の視点や自分なりの視座、そういったものを日々涵養しているかどうか。ある種の地力、思考力の地力、そういったものが差になってくると思っております。

しかるに、やはり模範解答の暗記、解答例の暗記だけでは、これらの対応力は原理的に言って養われない。そのように思います。

論文でほとんど落ちる

以降は少し厳しめのお話になってしまいますけれども、私の感覚からすると、特別経験者採用試験における論文の重要性、これについての認識が質問者さんはやや甘いのではないかと感じます。

統計的な事実をご案内申し上げましょう。特別経験者採用試験、1次試験の申込者数は1級職と2級職を合わせると例年2500人ぐらいですけれども、1次試験合格者は700人程度であり、それ以外の人は1次試験で落ちます

1次試験で落ちるというのは、つまりは論文で落ちているわけです。

例えばですけれども、もっと少数の人しか落ちませんと。落ちる人のほうが少ないぐらいですよ、ということなら話は違うかもしれません。

ですけれども、実際には、ほとんどの人たちは面接にたどり着く前に論文で落とされているのです。

これを踏まえると、とてもではないですけれども「模範解答を暗記さえすればいいんだ!」とは、私は言うことはできませんし、もし質問者さんがこの話を聞いてもなお、模範解答の暗記だけしておけば大丈夫なんだとお考えなのであれば、それは非常にリスキーなことだと個人的には思います。少し厳しい表現になってしまったかもしれませんけれども、特別経験者採用試験において、そのぐらい論文が重要だというのは、強調してもし過ぎることにはならないと私どもは考えております。

勿論、入口の段階では模範解答を覚えて、解答例をしっかり自分の中に染み込ませていくことはとても重要であります。この重要性に関しては、私どもGravityも否定をするものではありません。

しかし「それだけで大丈夫ですか?」と言われたとき、それだけで大丈夫だとは言えないのが正直なところであります。ですので、ぜひ皆さん方にあっては、特別経験者採用試験における論文の重要性ををあらためて認識していただいたうえで、以降も論文対策を頑張っていただければと思っております。

それでは、また次回以降のお悩み相談でお会いしたいと思います。ありがとうございました。

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この記事の筆者
筒井夢人

【最多合格】のGravity┃社会人採用専門予備校Gravity講師┃元TAC講師┃元公務員┃特別区経験者採用(15位合格・新宿区内定)他多数の合格経験┃このサイトでは特別区経験者採用の対策について発信しています。

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