【相談内容】
特別区経験者採用の受験を考えている者です。現在、小規模自治体で働いているのですが、志望動機がうまくまとまらず悩んでいます。
私のように公務員から転職する場合、志望動機をどう作っていけばいいのでしょうか。
【はじめに】
志望動機は、面接において非常に重要な要素の一つです。私も面接対策の講義では、場合によっては1時間ほどかけて説明しています。
そのため、この記事ではワンポイントの解説にとどまる点をご容赦ください。それでは早速見ていきましょう。
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感情
志望動機を構成するうえで重要な要素は、2つあると考えています。1つ目は感情です。
シンプルに言えば、質問者さんや皆さんが、特別区に対してどのような愛着・縁・なじみを持っているのかということです。皆さんと特別区を結ぶ心理的・感情的な側面が、まず重要になります。
たとえば、同じようなことをしている2つの組織があるとします。一方には強い愛着や縁、なじみがあり、もう一方にはそれほどない。その場合、愛着のある組織を選ぶのが自然です。
質問者さんが今勤めている組織や、縁やなじみのある土地と比べたときに、「特別区は自分にとって特別な思い入れのある土地だ」と言えるのであれば、それは志望動機の一つの理由になります。
私自身もこれまでさまざまな公務員試験を受けてきましたが、どの組織でも、こうした感情的な側面は分かりやすく伝えるようにしていました。
志望動機を練り上げ、言語化していくときには、この感情面にきちんと触れられているか、面接カードに書けなかったとしても面接で口頭で触れられているか。このあたりを意識してください。
論理
ただし、感情面だけで押し切れるかというと、そうはいきません。
たとえば、志望動機のポイントとして感情面だけを面接でPRしたとします。その場合、面接官からは次のような返しが想定されます。
つまり、「今の職場にも愛着やなじみがあるのだから、そのまま働き続ければよいのではないか」という話になってしまいます。そこで2つ目のポイントが重要になります。それが論理です。
私自身の例でお話しします。私は特別区経験者採用試験を受験したとき、多文化共生や公教育に従事したいと話していました。
では、なぜ特別区なのか。全国にさまざまな自治体がありますが、その中でも特別区は、外国人住民の比率や、教育に課題を抱えている家庭・子どもの数が段違いに多いのです。
それを踏まえると、他の自治体を選ぶよりも、特別区のほうが自分の仕事のインパクトが大きい、より大きな影響を及ぼすことができる、やりがいがある。私はそう考え、実際に面接でもそのように話しました。
このように、感情面だけでなく、「理屈で考えたときに他とここが違うから、ここを選んだ」と言えること。この論理の側面もとても重要です。
論理という要素を志望動機にきちんと織り込んでおくと、感情面にツッコミが入ったとき、たとえば
と言われたときに、
と切り返すことができます。
では、質問者さんのように現に市役所で勤務している人は、どのように考えればよいのか。考え方の一つを示します。たとえば、今の役所で福祉の部署で働いているとします。
その市役所で働くことにも、十分やりがいはあるかもしれません。しかし、特別区のほうが福祉の課題は多いと考えられます。理由は単純で、人口が多いからです。人の数が多ければ、問題を抱えている人の数も増えます。
福祉の仕事は、今の市役所でも特別区でも、やること自体に大きな違いはないかもしれません。
しかし、「どちらのほうが社会的な影響を及ぼせるか」「より多くの人にアプローチできるか」と考えたとき、単純な数の問題ではないにせよ、特別区のほうがより大きなインパクトを及ぼせると言えるでしょう。
したがって、今の市役所にもやりがいはあるが、より人口が多く、より課題の多い特別区で、もっと大きな仕事に挑戦したいという形も、志望動機の一つとして十分に成り立ちます(もちろん、これがすべてではありません)。
「感情面で特別区を選んだ」というだけでなく、理屈・論理という要素を入れ込むことで、よりしっかりした志望動機になります。私自身もそのスタイルでした。
「違い」を言語化する
ここまで、感情と論理のどちらの側面も重要だとお話ししました。感情「だけ」、論理「だけ」ではなく、この2つを車の両輪として練り上げてください。
では、この2つをより強化するために必要なことは何か。それは違いを言語化することです。つまり、今自分が勤めている市役所・自治体と特別区との違いを、感情面と論理面の両方で言語化することです。
愛着、なじみ、縁など、感情的な側面はさまざまありますが、自分が特別区に抱くものと、今の市役所に抱くものは、何がどう違うのか。これを言語化しないと、「だから特別区を選んだ」とは言えません。
論理面も同じです。たとえば、多文化共生を促進する事業に携わりたいと考えているとします。
多文化共生にもさまざまな切り口がありますが、外国人の方がどれくらいいるかは一つのポイントになるでしょう。そのとき、今勤めている自治体と特別区ではどれくらいの違いがあるのかを、数字を根拠にして話せるかどうか。
つまり、違いがくっきりと言語化されているかどうかが、とても重要です。
残念ながら面接を突破できない方は、感情面にしても論理面にしても、「他の自治体と何が違うのか」の言語化が非常に緩いのです。
「今勤めている市役所と特別区は何が違うのですか?」と聞かれたときに、少なくとも自分にとっての「ここが違います」を即座に言えない方が非常に多いのです。
もちろん、切り口は自分なりのもので構いません。「こう言っておけば正解」というものはないと考えています(そうした「模範解答」に頼る人ほど落ちている印象があります)。
しかし、少なくとも「自分の勤めている市役所と特別区では、こういうところが違います。具体的にはこうです」という話をしっかりできるかどうかは、きわめて重要です。
さらに言えば、落ちる人は言語化が緩いというよりも、そもそも「何が違うのだろう」という視点を持っていない、あるいは違いを自分なりに考えてみようという思考そのものがない方が圧倒的に多いのです。厳しい言い方かもしれませんが。
「どこが違うのですか」と聞かれて「ここが違います」と言えなければ、「だからこちらを選びました」という説明は原理的にできません。どちらも同じなら、どちらでもよいという話になってしまうからです。
「ここが違うから特別区を選んだ」と言うためには、「今の市役所と特別区で何が違うのか」という質問に、直球で答えなければなりません。
質問者さんも、この記事を読んでいる皆さんも、特別区と今働いている組織の何が違うのかを丁寧に言語化することから、逃げないでください。
言語化の作業は一人でもできますが、私やGravityのサービスを利用して練り上げることもできます。他の人のサポートを借りても構いません。とにかく、違いを言語化するところから逃げないでください。
ちなみに、特別区経験者採用における面接カード(職務経歴書)のポイントについては下記の記事でも解説していますので、併せてご一読ください。
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