【特別区経験者採用】ICTと事務のどちらを受けるか?

【相談内容】

民間のシステム会社に勤めている30代前半の者です。特別区経験者採用を受験する予定ですが、事務と今年から新設されるICTのどちらで受験するべきかで悩んでいます。

私自身はシステム会社に勤めているため、ICTのほうが現職との関連性はありますが、ITの技術や知識があまりあるほうではありません。やりたいこともICTに限らず幅広い分野の業務に携わりたいと考えています。事務とICT、どちらのほうが合格可能性が高いのか、先生の見解を教えていただければ幸いです。

【はじめに】

事務とICTどちらを受けるべきか?については、質問者さんやあるいはこれを見てくださってる皆さん方お一人おひとりのストーリー、過去の経歴だったりとか、そういったものを伺ってみないと、こっちの方がいいと思いますというのは一概には言えないというところがあります。

ただしそれでも、自分がどちらを受験していくべきなのか?というときに大事になるポイントというのはいくつかあるように思いますので、今日はそのポイントの中でも3つのものを紹介したいと思っております。

それでは早速参りましょう。

なお、下記のYouTube動画でも解説を行っているので、併せてご視聴ください。

倍率

まず1つ目ですけれども。これは何かと申しますと、「倍率」ですね。

すなわち、受験をしていくときに、「事務の倍率はこのくらい、ICTの倍率はこのくらいだからこっちを受けよう」十分これはあり得る意思決定重要なポイントになりそうですよね。

ただし、ICTの方は当然ですけれども、今年から新設されるものでございますので、過去の蓄積がないわけですね。ということは、ある程度倍率を予測するということが重要になってまいります。

じゃあ、やられてもいないものどうやって倍率を予測するんですか?といったときに、これは特別区以外でICTをやっている組織を参考にしてみるという考えがあるんじゃないかなと思うんですよ。

ここでは、東京都庁のキャリア活用採用におけるICT職の採用。これをちょっと参考にしてみたいと思います。言うまでもございませんけれども、東京都庁と特別区というのは地理的に重なっておりますので、おそらく相当程度参考にはできるように思うんですね。

まず、昨年に関して申し上げますと、東京都庁キャリア活用ではICTは120人が申し込みしておりました。都庁と特別区は日程が重なっておりませんので、理屈の上では、この120人がまるごと特別区を受けてきても全く不思議ではないですよね。

しかし、ここで1つ考えなくてはいけないのが、例えば東京都庁のキャリア活用の場合には、ICTで受けていく場合に「ICTに関する専門記述試験」すなわち専門試験が課されているんですね。

その意味で言うと、都庁の方がハードルが高くて、特別区の方がハードルがやや低めという形になっております。

ですから、先ほど申し上げた120人以外の人たちも、特別区に関しては受験してくるんじゃないかと予測ができると思います。

ここではざっくり、例えば都庁の1.5倍の人たちが受験をしてくると仮定してみたいと思います。かなり控えめな仮定ではあるんですけれども、ここでは一旦そのように考えておきましょう。

すると、120人の1.5倍の人たちが特別区を受験してくることになりますので、これは180人が申し込んで来るんじゃないか、受験してくるんじゃないか、そういう風に考えることができます。

では、その上で特別区のICTは何人を採用予定なのか?というところですよね。

これは現段階で公表されている情報に基づくと、1級職に関しては、18人を採用予定であるとなっております。

ということは、180人が申し込み・受験をして18人が採用されるということになりますと、単純に倍率は10倍前後になるのではないか、そういう風に予測をすることができそうです。

もちろん実際には、例えば180人の申し込みがあったときに、180人全員が受験するとは限らないですよね。申し込んだけど受験しなかったパターンもあり得ると思います。

あるいは「18人採用予定」となっていたとしても、通常の場合には18人よりももうちょっとだけ最終合格を出したりするものでありますので、実質的な倍率は10倍よりもう少しだけ下がるかもしれません。

あるいは、実際には180人ではなくて、もっと多くの人が受ける可能性もあるので、10倍よりも高い倍率になるという可能性も否定はできないわけですけれども、差し当たり予測といたしましてはだいたい10倍前後になるんじゃないかなというのが私の読みであります。

実際に倍率がどうなるか?というのは蓋を開けてみないと分からないわけですけれども、先ほどの仮定に基づけば、倍率は10倍前後になるんじゃないか、そういう風に考えることができそうですよね。

では、これを事務の方と比較したときに、事務の場合には例年ですと、1級職で8倍くらい、2級職で12倍くらい。こういう形になってますよね。

ということは、ICTであったとしても事務であったとしても、それほど倍率に大きな違いは現段階ではないんじゃないかと考えることができそうです。

その意味では純粋に「倍率」というポイントだけからは、どちらの方が望ましいというのはなかなか言えないというのが私の見解であります。

試験内容

2つ目のポイントが、「試験の内容」であります。

特に、この試験の内容といったときに重要になってくるのは、やはり論文だと思います。特別区経験者採用の場合には、やはり何よりも入口の時点では論文が重要になってまいりますので、ここにフォーカスしていくというのは重要だと思います。

まずは事務の方ですけれども、事務の方は過去何年にも渡って試験が行われておりますので、過去問のストックがあるわけですよね。ですので、これらを分析することによって傾向的にこの辺りが出てくるだろうということを、一応は予測することが可能になるわけです。

しかしICTの場合には、今年からという形になってまいりますので、試験でどういった問題が出てくるのか?ということに関しての不確実性が非常に高いと考えることができます。

特に論文に関しては、例えばICTの場合には「ICT論文」ということで、質問者さんとかこれを見てくださってる皆さん方のICTに関する経験・知識、こういったものを問う論文という形になっております。

でも、これだけでは一体どういう問題が出てくるのか?というのが全然分かりませんよね。この点に関しましては、一応は特別区人事委員会が、こういったイメージの問題を出しますよというのを公式に掲載してくれております。ですので、それをちょっと紹介してみたいと思います。

デジタル化の進展とセキュリティ対策について、あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、職務経験や専門的知識を踏まえ、採用区分における立場として論じてください。

特別区職員採用試験・選考における事務(ICT)の実施についてより引用

今のイメージの問題だと「セキュリティ対策」という形になっておりましたけれども、実際にどういった問題が出てき得るのか?というのは、全く分からないわけですよね。

これが例えば、試験が5年・10年・15年と行なわれた結果として過去問の蓄積がある程度できたと、そうなればこういったものを分析することによって、傾向的にはこういったところが出てくるだろうということを予測することはできます。

しかし残念ながら、単なる例題だけでは、こんな感じの問題が出てくるということを正確に予測することはできない。その意味で、やはり不確実性は高いと言わざるを得ません。

ということで、試験内容の不確実性という観点からは、ICTよりも事務の方が対策は立てやすい・傾向を読みやすい、こういった特性があろうかと思います。

やりたいこと

そして、最後に3つ目が「やりたいこと」というポイントですね。

すなわち、皆さん方が入庁後にどんな業務に携わりたいのか、取り組んでみたいのか、こういったところも事務とICTで少し分かれてくるところかなと思います。

例えばですけれども。ICTは一体どういった業務に携わるのか?といったときに、これも一応現段階のものではあるんですけれども、こういったことがイメージされているというものが特別区人事委員会において掲載されておりますので、それをちょっと紹介したいと思います。

事務(ICT)職はICTに関する知識やデータを活用した政策立案の他、各種システムの導入・管理等を行い、特別区のデジタル化を支えます。

特別区職員採用試験・選考における事務(ICT)の実施についてより引用

わりとシステムシステムしているというか、ICTに特化した内容に携わっていくのかなというニュアンスがここからは感じ取れます。

もちろん「各種システムの導入・管理」と記述されておりますので、それ以外のこともここはニュアンスとして含んではまいります。

これが行政文書の難しいところでして、“等”と記述がある場合には、これはかなり広い意味を含んでおりますので、なかなか「それだけに携わる」ということは言えないわけです。しかし、素直に文章を読むのであれば、ICTにフォーカスした業務に携わっていくのではないか、そういう風に読み取ることができようかと思います。

この点に関して申し上げますと、質問者さんは「ICTに限らず幅広い分野に携わっていきたい」こういう風に質問文に記載がございました。この観点からは、ICTよりも事務の方が望ましいのではないか、そういう風に思います。

これを見てくださってる皆さん方にも、おそらく各々携わりたい仕事・やってみたいこと、いろんなものがあると思うんですね。それを考えたときに、わりと自分がやってみたいことはICTにフォーカスした内容だなという場合は、もちろんICTがいいと思いますけれども、わりと色々な分野、多岐にわたる分野に携わってみたいという場合には、事務の方が望ましいのではないかと私自身は感じます。

ということで、皆さん方には事務とICTどちらを受験していくのか?ということを考えていくにあたって、重要になる3つのポイントをご案内しました。

皆さん方にあっては、以降もこういった内容を参考にしながら考えていただきたいとは思うんですけれども。ただ、まだ特別区人事委員会から正式な受験案内というのが公表されておりませんので、6月の受験案内が正式に発表されるタイミングで、また意思決定を下していただければいいかなと思っております。

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この記事の筆者
筒井夢人

【最多合格】のGravity┃社会人採用専門予備校Gravity講師┃元TAC講師┃元公務員┃特別区経験者採用(15位合格・新宿区内定)他多数の合格経験┃このサイトでは特別区経験者採用の対策について発信しています。

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