今回は、特別区経験者採用 論文で予想してないテーマが出てきたら?というテーマでお届けします。
本試験が近づき、多くの方が論文対策に励んでいることでしょう。
そのなかで多くの受験生が恐れているのが、「予想していないテーマが出てきたらどうしよう」という事態です。私も受験生でしたから、その気持ちはよく分かります。
特に職務経験論文は課題式論文と違い、与えられた1題に必ず答えなければなりません。課題式論文なら2題から選べるため、片方が未知のテーマでも、もう片方が予想どおりであったり過去問に似ていたりすれば何とかなります。
しかし職務経験論文には、選択の余地そのものがありません。予想していないテーマが出ても、何とかして書き上げなければならないのです。その不安は、誰しも抱えているはずです。
そこで今回は、予想していないテーマが出てきたときの、私なりの対処方略を紹介します。
私自身が本試験で職務経験論文を書く際に実際に用いた考え方ですので、多くの方の参考になるでしょう。
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テーマの「具体化」
結論から述べると、対処方略はテーマを「具体化」することです。
これだけでは何のことか分からないでしょう。「具体化せよ」と言う以上、私自身も具体的に説明していきます。
実際の出題を例にとるのが分かりやすいので、2023年度の職務経験論文のテーマを題材にします。テーマは次のとおりでした。
ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた職場での取組について、 あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、その経験を踏まえて採用区分における立場として論じてください。
「ワーク・ライフ・バランスの実現」は、特に独学の受験生にとっては99.9%が予想外のテーマだったはずです。私の観測範囲で、これを予想できていた独学の受験生は一人もいませんでした。ほぼ全員にとって未知のテーマだったわけです。
では、どう考えればよいのか。まず「ワーク・ライフ・バランスの実現」と聞いて、このテーマ抽象度高いなと感じられるでしょうか。つまり、何を書けばよいのかが一目では分からないテーマなのです。
そこで、具体の度合いをどんどん高めていきます。「ワーク・ライフ・バランス」とは具体的に何を指すのか、掘り下げて考えてみましょう。
直観的に言えば、ワーク・ライフ・バランスとは「ワーク」と「ライフ」、すなわち仕事と私生活とのバランスのことです。なぜこのテーマが出題されるのかといえば、現代日本ではそのバランスが取れていないからにほかなりません。
現状を具体的に考えると、圧倒的にワークの割合が大きくなっています。本来は釣り合っているべきものが釣り合っていない。だからこそ、こうしたテーマが出題されるのです。
そうであれば、バランスを実現するには、大きすぎるワークの割合をいかに引き下げるか、すなわち働く時間をいかに減らすかを考えればよさそうです。
ところが、ここで1つ問題が生じます。単純に働く時間を減らしただけでは、仕事が終わらないのです。
求められる成果物(アウトプット)は人それぞれですが、「この量は何としても終わらせなければならない」という仕事は誰にでもあるでしょう。それを残業でどうにか終わらせているのが実情です。
その状況で働く時間だけを一気に減らせば、単純に仕事が終わらなくなってしまいます。
ここまでをまとめると、ワーク・ライフ・バランスの実現にはワークの時間を引き下げる必要があるが、単純に引き下げると仕事が終わらないという問題が生じる、ということになります。
では、どうすればワーク・ライフ・バランスを実現できるのでしょうか。
答えはいたってシンプルで、1時間あたりの生産性を高めるしかありません。働く時間を減らすのであれば、その代わりに1時間あたりでこなせる仕事の量を増やす必要があるからです。
すると次に、時間あたりの生産性はどうすれば高められるのか、という問いが生まれます。
これも答えは簡単で、要するに業務をいかに効率化するかに尽きます。無駄の多かった仕事を効率化すれば、時間あたりの生産性は明らかに高まるでしょう。
業務効率化によって時間あたりの生産性が高まれば、労働時間が短くなっても、これまでと同じように成果を出すことができる。そういう筋道が見えてきます。
ここまで、ワーク・ライフ・バランスという言葉を手がかりに、「結局どういうことなのか」と具体度を高めてきました。その結果、「ワーク・ライフ・バランスの実現のためには業務の効率化を図ればよいのではないか」という地点にたどり着きました。
これが「具体化せよ」ということです。「ワーク・ライフ・バランスの実現」と言われただけでは戸惑いますが、具体の度合いを高め、分解していくと、「要するに業務の効率化のことだ」「業務の効率化について書けばよい」と道筋が見えてきます。
ここまで来れば、エピソードの紐付けはそれほど難しくありません。「ワーク・ライフ・バランスの実現に向けて取り組んだこと」はなかなか思いつかなくても、「自分の仕事を効率化するためにしたこと」なら、多くの方が何かしら挙げられるはずです。
「このテーマはよく分からない」「予想していなかった」「抽象的だ」と感じたときは、このようにテーマを具体化し、分解していく。そうすれば「要するにそういうことか」という核心が、かなり見えやすくなります。
そこまで見えれば、その具体に対して分かりやすいエピソードを当てはめることで対処できる。これが私の見解です。
なぜ効果的なのか?
予想していないテーマが出てきたときには具体化せよ、と述べてきました。では、なぜ具体化すると書きやすくなるのか?この点についても説明しておきましょう。
結論から言えば、具体化することでエピソードの紐づけが簡単になるからです。ここでは論文から離れて、別の例でこのメカニズムを説明します。
街中でインタビューやアンケート調査を受けたことはないでしょうか。
そこで「普段どんなものを召し上がっていますか」と聞かれたとします。
正直なところ、答えに窮するはずです。「普段」と言われても、それがいつのことなのか分からないからです。
仕事の合間に何を食べているかという意味かもしれませんし、休日の食事のことかもしれません。外食で何を食べるかという解釈も成り立ちます。
つまり、その質問だけでは、どのエピソードを持ち出せばよいのかがまったく分からないのです。
一方、質問が「昨日のお昼に何を食べましたか」であれば、即座に答えられるはずです。
なぜ先ほどの質問には答えられず、こちらには答えやすいのか。それは質問自体が具体化されており、どのエピソードを、どの場面を切り取ればよいのかが容易に分かるからです。
問いかけが具体的であればあるほど、どのエピソードを持ってくればよいのかという紐付けは簡単になる。そういうことです。
裏を返せば、問いかけが抽象的なまま、あるいは具体のレベルで理解できていないままでは、どのエピソードを紐付ければよいのかは決して分かりません。だからこそ具体化が大切なのです。
たとえ予想していないテーマであっても、「具体的にはどういうことか」が分かれば、「それならこのエピソードだ」という紐づけは容易になります。
具体化を勧める理由は、このようにエピソードとの紐づけがスムーズになるからにほかなりません。
おわりに
今回の記事では、特別区の職務経験論文で予想していないテーマが出てきたときには「具体化せよ」ということをお伝えしました。
本試験で確実に役立つ考え方ですので、ぜひ身につけておいてください。
繰り返しになりますが、特別区経験者採用の1次試験の合否は論文試験で決まります。職務経験論文でしっかりした内容を書けるかどうかは合否に直結しますから、今回の記事を参考に、トレーニングを続けていってください。
なお、課題式論文のポイントについては、下記の記事で詳しく解説しています。

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